継承と革新 vol.1
2025.4.29
1902年に探検家ベン・ウィリスが立ち上げ、後に実業家のハワード・ガイガーが経営に加わった
Willis&Geiger 。
主に富裕層に向けた機能的且つハイエンドなアウトドアアイテムを生産。
米国の大統領らを始めとする多くの歴史的著名人を顧客に抱え、ポールスチュアートやハンティングワールドといった有名ブランドのOEMを請け負うなど、ラグジュアリーアウトドアブランドとしての地位を確立。
機能面、縫製技術も国内最高水準だったことから、米軍からも依頼を受けていた。
アメリカの作家、ヘミングウェイも顧客の一人。
正確に言うと、当時国内随一のアウトドアブランドであったアバクロのお得意様で、彼の特注なんかをウィリスが依頼を受けていた。
拘りの強い彼のわがままなオーダーに応えるには、それが最善だった。
彼の名を冠した此の Hemingway jacket もそんな経緯で誕生した。
目指したのは、別注とかでなくあくまで当時の復刻。いや、伝承。
下手なことはできない。したくない。
生地、パターン、色に至るまで試行を重ね、時間を費やした。
当時に倣い、敢えてCADを使わずマスターパターンを作成。
手で引く自然な丸みを出したかった。
ビーカーテストもTan, Pewter ともに三度行い、抜かりなく。
生地に使用している 「340 ブッシュポプリン」は1インチあたり340本もの綿糸で織り上げるウィリスが開発した高密度のコットン生地だ。
その打ち込みの多さは雨を撥ね返し、柔らかくも堅牢な作り。
また、ブッシュ(アフリカの森林、潅水地帯)で生活をする上で最も脅威であった蚊や蟻の侵入を許さないものだった。
ベルテッド仕様が主流だったレギュラーのサファリジャケットから
面倒くさがりだった彼らしくシャーリングに変更。
街使いにもこれくらいの方が溶け込んだりする。
華美になり過ぎないし、何よりフィッティングが良い。
愛用の眼鏡を収納する為のポケット。
幼き頃から弱視だった彼には欠かせないパーツ。
シンプルだが、それ故に強い拘りが窺える。
以上でも以下でもない、美しいバランスこそが
今も尚、名作として愛され続けている所以だろう。
-Willis&Geiger outfitters-
The Hemingway jacket
color: Tan, Pewter
size: 36, 38, 40, 42
price: 99,000- intax
Made in Japan